縁を結ぶ、冠婚葬祭。セルモグループ

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セルモの代表を務める岩上梨可が、社長としてママとして書くコラム。
人と人の「縁」や、この国の人生儀式など、忘れてはいけない大切なことを綴っていきます。

一覧に戻る 「最適なお葬式」とは…2025.10.17

数年前に新型コロナ感染症の流行を経験したことで、私たちのライフスタイルや価値観は、さまざまな面で変化しているようです。その顕著なものの一つが、お葬式です。まさに、弊社の業務そのものであり、日々お客様と接する中でひしひしと実感していることでもあります。

コロナ禍で人が集まることが難しかったため、お身内を中心とした小規模な『家族葬』が多く選択されるようになりました。また、葬儀にまつわる行事を1日で執り行う『1日葬』を希望されるケースも増えてきました。従来の『一般葬』だけでなく、その時々、それぞれの事情や想いに合わせ、お葬式のスタイルは多様に変化しつつあります。

ややもすると、この傾向は、葬送という儀式の単なる「簡素化」「簡略化」と捉えられがちですが、決してそうであってはならないと私は考えています。スタイルが変わったことで、人を弔う気持ちまで薄れてしまうとすれば、それは、あまりに寂しいことだからです。故人には、それまで人として生きてきた尊厳と唯一無二の人生があります。その故人に思いを馳せながら「お疲れまでした」とお見送りをする機会、それが、お葬式です。後にも先にも一度きりしかないお別れのとき。セレモニーが、盛大であっても、ささやかであっても、そこに込める想いは、同じであって欲しいと思うのです。

また、一方で、こういった葬儀スタイルの変化が起きた背景には、社会構造の変化もあると考えています。単身世帯の増加や家族構成の変化などで、喪主となる方と故人との関係性が以前ほど近くない場合も増えているのです。具体的には、子が親を弔うという昔ながらの形だけでなく、親族のどなたかが喪主になられるケース。そういう中では、喪主となられた方に過剰な負担がかからない形が求められるのは、ある意味自然な流れ。送る側も、送られる側も、程よい、重荷にならないセレモニーのニーズが、コロナ禍と相まって現われてきたのだと感じます。

「では、自分ならどう送られたい?」。「遺族に負担をかけたくない」「自分らしい人生の終わりにしたい」そんな想いから、自分の葬儀を生前から主体的に考える方も増えてきています。「みんなが笑顔で送ってくれるお葬式」「一緒に生きてくれた人たちへ感謝の気持ちをしっかり伝えたい」…その想いは、さまざまです。ただ、この場合、ご本人の希望を周囲のどなたかと共有しておいていただくという課題があります。私たちセルモは、そんなふうにご自身のお葬式の準備をされる方のお役にも立ちたいと、いま、仕組み作りをしています。いつか誰にでも訪れる「人生の卒業」は、決して忌むべきものではなく、もっとオープンに語られていいものではないでしょうか。

セルモでは、新しいお葬式のスタイルとして、今年、熊本市の西原と江津に「玉泉院1日葬ホール」を開設いたしました。お通夜を行わず、告別式だけをご家族でゆっくりとお過ごしいただくための空間です。私たちがご用意すべきは、社葬などの大きなご葬儀からご家族だけの心温まるお葬式まで、どんな形にもお応えできる体制とスキル。たった一度のお別れの想いを込めた「最適なお葬式」をお手伝いしたいと考えています。