セルモの代表を務める岩上梨可が、社長としてママとして書くコラム。
人と人の「縁」や、この国の人生儀式など、忘れてはいけない大切なことを綴っていきます。
一年の中でも、まとまった長い休暇が取りやすい夏。さまざまな資格試験や趣味を深めるなど、自己成長のために時間を使う方も多いのではないでしょうか。弊社では、今年の年頭に『育成のセルモ』という経営ビジョンを掲げ、いま人材育成に力を入れています。その軸として採用しているのが「コーチング」です。コーチングとは、自分で考えて行動する能力をコーチと呼ばれる相談役との対話の中から引き出す自己改善技術(コトバンクより)。コーチングを受ける人は、まず、自分がどうしたいのか、目指すイメージをきちんと定めて、その途中に出会う課題も自ら分析し克服しながら目標を達成していきます。そのための気づきを促すのがコーチの役割。日本では2000年代頃からビジネススキームとしても普及するようになりました。弊社が今取り組んでいるのは、コーチングの技術や考え方を、自らのためだけでなく若手を導くリーダーとして中間管理職に体得してもらうことです。
実は、私がコーチングを社員育成に取り入れたのは、自分自身コーチングを受けたことで思考と行動が180度変わった経験があるからです。15年前、突然父から会社経営を任された時、私の中にあったのは不安だけ。「私にできるわけがない」「私にはアレもできない、コレもできない」そんな否定的な想いばかりが頭に渦巻いていました。周囲にも「どうしてできないの?」という言葉を口癖のように投げかけていたようです。そんな私が、自分への質問が変わっただけで、劇的に前向きになれたのです。それは、「どうしてできない?」という否定形の問いから「どうすればできる?」という肯定形の問いへの転換。それまでネガティブにしか考えられなくなっていた自分が、コーチングを受けた後は、「よしやるぞ!」「どうすればもっと良くなる?」とすっかりポジティブな自分を取り戻したのです。言葉がけ一つが、人の行動レベルまで変えてしまうことに大きな衝撃を受けました。
このコーチングのスキルは、仕事だけでなく、プライベートな目標達成や子育てなどにも応用できます。社内では基本的に仕事の目標達成をベースに学んでいきますが、実は、人としての成長も大いに助けてくれるのです。そうやって、頼もしい人材が育っていくことは、会社全体の成長を意味します。また、弊社が地域に根ざす企業として、あるいは、社員が個人として培った力が、地域社会の課題を解決するお役に立つかも知れません。人の成長は、その人が働く企業の成長につながり、企業の成長は、地域の成長につながるのです。
私は、そのことを、今の若い人たちにもっと知ってもらいたいと考えています。個人のキャリアアップももちろん大切ですが、その先に自分をもっと大きく成長させてくれる社会とのつながりがあることに気づいてもらいたいのです。育って欲しいのは、自己成長を周囲と分かち合える人。そして、次代を担う若者が自己成長できるよう導いてくれるリーダー。私たちセルモは、地域社会になくてはならない企業を目指して、挑戦と研鑽を続けます。