縁を結ぶ、冠婚葬祭。セルモグループ

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セルモの代表を務める岩上梨可が、社長としてママとして書くコラム。
人と人の「縁」や、この国の人生儀式など、忘れてはいけない大切なことを綴っていきます。

一覧に戻る 「おもてなし」の完成形とは…2023.12.01

コロナによる規制が世界的に緩和された今年、インバウンドのお客様も一気に増えているようですね。コロナ前にはリピーターが60%を超していたというデータがあるほど海外の人にとって魅力的な観光地である日本。美しい景色や独特の文化、食の楽しみと並んで異国の人たちのハートを捉えているのが、日本ならでは「おもてなし」だと言われています。

では、日本的な「おもてなし」とは何なのか?改めて考えてみました。私なりにたどり着いた答えは、「ようこそいらっしゃいました」という気持ちを、相手に感じてもらえる気遣い。また、それを受け取る方ができるだけ気を使わないようにする気の利かせ方ではないかと。それは、「接客」や「サービス」といった言葉とも一線を画す、相手への無償の心遣いのことではないかと思うのです。

「おもてなし」は、相手を慮(おもんぱか)る文化、察する能力に長けた日本人ならではの精神文化に根差したものだという気がします。言葉にしなくても、分かりやすいプレゼンテーションをしなくても、相手の思うところをお互いに感じ取ることができる。そんな能力は、親から子へ、知らず知らずのうちに受け継がれるもの。謙遜や謙譲、控えめさといった、相手を思いやることを主眼とした意識や考え方が自然に育まれているように思います。また、それを表現するセンスとして、日本人がもともと持っている五感の繊細さも大きく関係しているのかも知れません。眼に見える形だけでなく、お香を焚いたり、雪見障子を設えたり、まさに四季の食材を五感で味わう日本料理などはその代表格ではないでしょうか。

新郎新婦に代わってゲストへのさまざまな「おもてなし」をサポートさせていただく私たちにとっても、お料理は特に力を入れているもののひとつです。調理場にリクエストするのは、見て楽しく、味わって美味しく、そして、そこに驚きや感動をもたらす工夫。例えば、「えっ?コレとコレ⁉」という意外な食材の組み合わせだったり、食べた瞬間に「なに、この食感!!」と先入観を覆す感覚が味わえたり、テーブルに運ばれたとたん視覚的にもワクワクするような演出があったり…。お二人の「今日は来てくださってありがとうございます」という気持ちが、五感で味わっていただくお料理の中に、少しでもエッセンスとなって入ってくれればいいなと願いながらご提供しています。

プライベートでも、お客様をお迎えする時は、必ず花を飾り、季節感を意識したお料理を用意するのですが、気をつけているのは、相手が気を遣われないようにすること。また、招かれた側になったときも、まずは、ご用意してくださった「おもてなし」を楽しむことにしています。日本人は、どうしても、いろいろと遠慮をしてしまいがちですが、「おもてなし」は迎える人の気持ちそのもの。遠慮をするのは、その気持ちを拒むことになるので、まずは喜んで受け止め、共に過ごす時間を楽しむことが何より大切だと思うのです。

そう考えると、「おもてなし」の完成形とは、「ゲストに心から楽しんでいただき忘れられない思い出に残る時間を過ごしていただくこと」ではないでしょうか。おそらく正解はない奥の深いテーマですが、私たちセルモも、お客様と共に、最高の「おもてなし」を追い続けて参りたいと思います。

 

本年もセルモに格別のご厚情を賜りありがとうございました。

来る年が、皆様にたくさんの幸せを運んで参りますようお祈りいたします。