縁を結ぶ、冠婚葬祭。セルモグループ

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セルモの代表を務める岩上梨可が、社長としてママとして書くコラム。
人と人の「縁」や、この国の人生儀式など、忘れてはいけない大切なことを綴っていきます。

一覧に戻る 「おめかし」の効果2023.10.16

近ごろ、結婚式を見ていて少しだけ気になっていることがあります。それは、若い方の中に、「晴れの日」としてはかなり地味目な装いの出席者をお見かけするということ。招待状を頂いてお祝いの席に着くのに「もったいないな」と、ちょっと老婆心を抱いてしまうような場面がけっこう増えている気がするのです。

パーティやお呼ばれなどに出かける際の装い、いわゆる「おめかし」には、2つの大きな効果があると私は考えています。

1つ目は、その場を主催するホストへの「敬意」や「感謝」「お祝い」など、招かれた側としての「気持ち」をカタチにして表せるという効果。盛装で華を添えてくれる、あるいは、会の趣旨に合った装いで出席してくれるゲストは、招いた側にとっても間違いなく嬉しい存在であるはずです。

もう一つは、普段と違う装いができる機会は、自分自身が楽しめる絶好のチャンスだということ。「私もちゃんとすれば、けっこうキレイかも?!」鏡の中の自分をそんな気分で眺めるのは、ちょっとワクワクする体験ではないでしょうか。もちろん、男性も、いつものビジネススーツではなく、ビシッと盛装用のスーツに身を包んでカッコよく登場してくれたら、女性たちも喜ぶに違いありません。

ただ、「おめかし」には、それなりのお作法があることを知っておくことは大切だと思います。例えば、結婚式であれば、主役の花嫁の色である「白」は避けること。お祝いの席にふさわしいデザインやファッションを選ぶこと。和装なら、ホストの女性は留袖。ゲストも、柄や紋、素材といったもので着物の格や意味合いが違ってきます。洋装の場合も、素材やデザインによって、あるいは夜か昼かによって、着分ける文化があります。いわゆる「ドレスコード」と呼ばれるものですね。

ファッションの基本は、TPO(Time Place Occasion)。どんな事情で、どこへ行くのか、目的は何なのか?主役がいるなら、誰なのか?その場での自分の立場や人との関係性の中で、それにふさわしい装いをすることが、対面する相手への気持ちや礼儀を表すものとなります。それは時に、自分一人ではなく、家族や会社など自分の背後にいる人たちに恥をかかせないためにも大切なこととなる場合もあるでしょう。

結婚式にも、仕事にも、スポーツ観戦にも、それぞれに、ふさわしいファッションがあります。それは、装いが自己表現であると同時に、社会性をもった大事なコミュニケーションツールであることを、みんなが暗黙のうちに認識しているからではないでしょうか。

とは言っても、一生のうちにそう頻繁には訪れない人生儀礼における装いには、戸惑いや迷いを感じられる方も多いかも知れません。そんな時、プロの目線でアドバイスをさせていただいたり、お召し物をご用意させていただいたりするのも、私たちの大切な役割のひとつです。かけがえのない時間を共有し、大切な人と絆を結ぶ、一期一会の機会に、皆様がより気持ちよくお互いの「気持ち」を伝え合い、分かち合われるお手伝いができればと考えています。