縁を結ぶ、冠婚葬祭。セルモグループ

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セルモの代表を務める岩上梨可が、社長としてママとして書くコラム。
人と人の「縁」や、この国の人生儀式など、忘れてはいけない大切なことを綴っていきます。

一覧に戻る 「別れ」は「分かれ」道。2021.03.01

3月は卒業の季節。昨年は突然襲ったコロナ禍の影響で卒業式を取りやめた学校が多かったようですが、今年は、感染対策を徹底して、時間をずらした2交代制や参加者を卒業生に限るなど、工夫を凝らして開催する学校も増えたようですね。成人式や卒業式などのセレモニーは、子どもたちに「あなたの成長は、こんなに大事」ということを伝え、ビジュアル的にも記憶に残してあげられる絶好の機会。また、子どもたちにとっても、自身の成長を自覚する貴重な人生の節目となるだけに、今の社会状況ではやむを得ないことですが、中止や縮小は本当に残念なことです。

卒業といえば、「別れ」がつきもの。これまで一緒に過ごしてきた友達や仲間と離れ離れになる寂しさに涙ぐむ子どもたち。親にとっても、成長した我が子の姿に嬉しさと寂しさが同時に込み上げる何とも言えない特別なシーンでもあります。でも、卒業は、ひとつの「別れ」であると同時に、そこからそれぞれが新しい道へと「分かれ」て歩みだす「始まり」の時でもあると思います。

学校の卒業ではありませんが、私がシングルを卒業して嫁ぐ時、父がくれた忘れられない言葉があります。「娘が家からいなくなると寂しいでしょ?泣きたいでしょ?」と問いかけた私に、父はこう答えたのです。「なんで寂しいことがあるか、家族が増えるのに。おまえが死んでしまったのなら泣くけれど、結婚は、去るものじゃない、増えるものだよ」と。人と人とのご縁を繋ぐ仕事に生涯をかけた父らしい言葉であり、私にとっては、いつも前向きであることの大切さを、改めて気づかせてくれた印象的な親子の会話でした。

幼稚園や学校の卒業だけでなく、大人になっても、ひとつの状況や環境からの卒業は、さまざまな形で訪れます。振り返って「お互いよく頑張ったね!」と仲間と讃え合える卒業もあれば、逆に、後悔の残る卒業もあるかも知れません。でも、その卒業の時を、単なる「終わり」と捉えず、次なる世界をどう切り拓いていくかの転機だと気づければ、「別れ」の寂しさと同じくらい、未来へ向かう力も湧いてくるのではないでしょうか。出会えた友人や仲間は、生きている限りいつでも繋がれる宝もの。残ってしまった後悔は、次にもっともっといい人生を創っていくための知恵に変えていけばいいのです。

コロナ禍で、さまざまなことが思い通りにならなかったり、諦めなければならなかったりすることが多い今だからこそ、ポジティブに前を向くことが、とても大切だと感じます。この大変な時期に人生の節目を迎えられるお客様に、どうすればその想いを叶えるお手伝いができるのか。私たちも、これまでの経験から更に前へと進み、もっともっとお客様に寄り添える新たな道を切り拓いていきたいと思います。