セルモの代表を務める岩上梨可が、社長としてママとして書くコラム。
人と人の「縁」や、この国の人生儀式など、忘れてはいけない大切なことを綴っていきます。
明けましておめでとうございます。お正月は、いかがお過ごしでしたでしょうか。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
お正月といえば、晴れ着。私の子供の頃は、和服姿の方をもっと見かけた気がするのですが、最近はめっきり少なくなってしまいました。忙しい今の女性にとって、着付けや髪のセットなど手間がかかる和装は、確かにちょっとハードルが高いアイテム。でも、着物には洋服にはない気品やオーラを纏わせてくれる不思議な力があるように思います。私は、自分が着物好きなこともあって、子どもの入学式や卒業式など大切な節目には和服を着るようにしています。頑張って着物姿で来てくれた母親を見て、子どもたちもとても喜んでくれるからです。
先日娘とおしゃべりをしていたら「着物は、なぜあんなに高価なの?」という話になりました。そこで、着物の価値を改めて見直してみることに…。まず、伝統的な着物には、一色一色を重ねていく「染め」や、布を細かく絞り上げて染める「しぼり」、一針一針の繊細な手仕事で仕上げていく「刺繍」など、膨大な手間と全国の産地で受け継がれてきた高度な技術が注がれています。また、和服には「留袖」「紋付」「訪問着」「小紋」などTPOで着分けなければならない「格」があります。例えば、どんなに高価でお気に入りでも、「小紋」を結婚式や入学式のような正式な場で着ることはマナー違反となってしまいます。つまり、和装には、社会とのつながりや自然との関わり、伝統技法といった日本人ならではの文化と知恵が、たくさん詰まっているのです。
和服に限らず世界で愛される伝統的なブランドも同じではないかと思います。ただ高価だから「高級品」というのではなく、その背景を知ると、本当の「モノの価値」が見えてくる、モノを見分ける目が培われると思うのです。そして、そんな価値あるモノを身に着けるには、それにふさわしい立ち居振る舞いや生き方をしたいというモチベーションにもつながるのではないでしょうか。モノを持つか持たないかは別として、真価が分かる目を持つことが、自分を磨いてくれるし、「教養」と呼ばれるものになっていくのではないかと思うのです。
自国の伝統や文化を次の世代へ伝えることは、私たち大人の責任です。そして、人生儀礼に関わる私たちセルモの事業は、まさに有形無形の日本の伝統と心を伝えていく仕事でもあります。そんな思いもあって、セルモでは、毎年夏、16歳~18歳の若い方たちに浴衣をプレゼントするキャンペーンを行っています。成人式で初めて着物を着て戸惑うことがないよう、もっと気軽に着られる浴衣で、少しでも和服に親しんでいただけたらと思っています。ご興味のある方は、どうぞお気軽にご応募くださいね。お待ちしております!