縁を結ぶ、冠婚葬祭。セルモグループ

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セルモの代表を務める岩上梨可が、社長としてママとして書くコラム。
人と人の「縁」や、この国の人生儀式など、忘れてはいけない大切なことを綴っていきます。

一覧に戻る 熊本地震から6年目の春に2022.04.11

前震4月14日21時26分、本震4月16日1時25分、熊本が最大震度7という大地震に見舞われてから6年目の春。多くの方が、様々な想いで当時のことを思い出されているのではないでしょうか。弊社では、(一社)全日本冠婚葬祭互助協会から届く食品やおむつ、ミルクなどの支援物資を配給しつつ、ちょうど震災直前に入った新入社員たちと、社内や周辺の片づけ、地域のお年寄りへのお声がけ、避難所での支援などを行ったことを覚えています。

いつ襲ってくるか分からない災害への備えは、できる限りしておきたいもの。我が家も、会社でも、家族と社員が1週間は困らないだけの物資をストックしています。また、災害時にも地域の拠点として稼働できるよう、本社はもちろん主要支店にも自家発電や水の確保ができるよう順次整備を進めています。さらに、避難訓練も、決して「分かったつもり」にならないよう、専門家の指導を受けて実際に役立つ訓練を定期的に行っています。

天災とは少し違いますが、このコロナ禍で、私は、会社のトップとしても非常時への備えがいかに窮地を救ってくれるかを学びました。弊社でもコロナ禍では大きなダメージを受けたのですが、自粛規制業種とはならなかったため、助成金等はいっさい受け取らず乗り切ることになりました。そんな中、会長だった父が「何かあったときのために」と貯めておいてくれた資金が、社員の雇用を守るセイフティネットとなってくれたのです。

物質的な備えと共に、私が大切だと感じているのが「心の備え」です。阪神淡路大震災や東日本大震災、サリン事件や米国同時多発テロ…最近では大洪水や森林火災など、ここ30年近く、国内でも世界中でも大災害や未曾有の出来事が続いています。正直、熊本地震と父の事故による突然の他界がなければ、私も、どこか他人事だったかも知れません。でも、「人はいつ、どんなことで死ぬか分からない」ということを、身をもって実感しました。突然、家族を残して逝くかも知れないし、残される側になるかも知れない。子どもたちにも、「人はいつ死ぬか誰にも分からない。だから、パパやママがいなくても生きていけるようになろうね」と、いつも話をしています。だからこそ、いつ何があってもいいように、今を精一杯生きることが大切。「できることは今!先延ばしにしない」。やりたいことはやってみる。会いたい人には連絡を取ってみる。伝えたいことはちゃんと伝える。日常の小さなことでも、実はその一つひとつが、大切な人生の一部だからです。「やっておけば良かった」と、後悔が残る人生にだけはしたくないし、子どもたちにもしてほしくないと思うのです。

災害が多発する中で、また、コロナ禍が日常化する中で、きっと世界中の人がいろいろなことを考えさせられているのではないでしょうか。6年前の記憶と共に、私が今改めて想うのは、同じ毎日なら、不安を抱いて過ごすより、できる限りの備えをしたら、あとは悔いのない笑顔に満ちた日々を送りたいということ。1日1日を大切にしながら、周囲の人たちへの感謝を忘れず、いつでも「ありがとう」をちゃんと伝えられる心の姿勢を保っていたいと思います。