縁を結ぶ、冠婚葬祭。セルモグループ

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セルモの代表を務める岩上梨可が、社長としてママとして書くコラム。
人と人の「縁」や、この国の人生儀式など、忘れてはいけない大切なことを綴っていきます。

一覧に戻る 新春にあたり想うこと2021.12.27

年末いかがお過ごしでしょうか?クリスマス、お正月と行事が続くこの時期。季節の祭事はできるだけ楽しみたい我が家では、10年ぶりにオーナメントを一新したクリスマスツリーを11月の始めから飾り、続いてお正月の準備にかかります。

お正月の迎え方は、家庭によってさまざま。私は、嫁いで始めてその違いを実感し、最初の年はかなりのカルチャーショックを受けました。実家は人が集まる正月、嫁ぎ先はゆっくり休む正月と、スタンスが正反対だったからです。

特に、お雑煮は、一般的にも「異文化」と言えるほど家庭による違いが話題になるアイテム。実家の母が私に伝授してくれたのは、京野菜やお餅など7種類の具をお椀に盛り、鶏肉と昆布と鰹でとったお澄ましの出汁を注ぐもの。京野菜を使うことからも、武家からの流れではないかと推測しています。小さい頃から母が作っていたこの味が、「お正月の味」。もちろん、鏡餅やしめ縄も飾り、お節料理もバッチリ準備します。そして、元旦には、年少者から順番にお屠蘇を頂き、「今年も一年健康で…」とあいさつをして、子どもたちにお年玉を渡します。

何ごともやるならきちんとやりたい私の性分もあり、しっかり準備をして新春を迎えるのですが、決して「お正月はこうあらねば」という義務感からではありません。堅苦しい儀式としてではなく、私たち日本人が代々大切にしてきた精神文化を、子どもたちにも楽しい思い出と共に感じてもらえたらと思うのです。

日本の伝統的な行事や食には、その背景にそれぞれの意味があります。例えば、お正月はおせち料理を作ることで包丁を持たない。これは、「ご縁」を切らないため。新年早々は掃除をしないのも、「運」を掃き出してしまわないため。お互いを思いやったり、見えない心を形に託したりする、日本人らしい文化が隠れています。季節の行事は、子どもたちに、そんな話が自然にできる機会でもあります。

今、うちの娘は海外に留学中。グローバルな人間になって欲しいと願いますが、ただ、むやみに異国の文化を吸収したり、周囲の環境に馴染んだりするだけでは、主体性を持った自己を確立することはできません。自分は何者か、日本人としてのアイデンティティを持ち自分の軸をちゃんと持っていることが、異文化の人と向き合う基盤にもなってくれるはず。グローバル化した世の中だからこそ、機会をとらえ、自分たちの文化を感じさせてあげることが、私たち大人にできることではないかと思うのです。

コロナ禍で想像もつかなかった現実に世界中が置かれている今。日本人の人生儀礼に対する意識も、大きく変化しつつあることを感じます。変わっていくこと、変わらないこと、変えてはいけないこと。失っていいもの、大切に守りたいもの。人生100年時代のこれからをどう生きるか、皆様とご一緒考えながら、新しい年の光を見つけて参りたいと思います。

本年も格別のお引き立てを賜りありがとうございました。
来る年が幸多い1年でありますように。
どうぞ良いお正月をお迎えください。